
今日本屋で出会った本.
「山野草・栽培全書」 ~日本・アジアの山野草篇~
みねはな会60周年記念出版
(株)近代出版
税込価格2730円(本体価格2600円)
みねはな会とは「昭和28年に大阪・吹田で創立された全国規模の山野草愛好団体」.日本の山野草界をリードしてきた重鎮たちが立ち上げた会で,現在80数名,原則として新規会員の募集はしていない…そうだ.
執筆メンバーは豪華絢爛.日本の植物園の園長,元園長クラスの人達,山野草会の有名人たちがズラリと名を連ねている.彼らが実際に長年栽培した経験を元に書かれているので,そんじょそこらの栽培本とは一味も二味も違う.なんせ写真
よりも「読む」ところが多い.執筆メンバーが濃いのなら内容も濃い.
パラパラページをめくって私が好きな植物や蓼科で目にしたことのある植物の項を見てみると,森和男先生が書かれたものが多かった.

たとえば「ヒマラヤの青いケシ」のページ.
バックが黄色になっているのはコラムでここでは何故メコノプシスを「ヒマラヤの青いケシ」と呼ぶようになったか…の歴史が解説されている.各植物,ところどころにこのようなコラムが設けられていて興味深い.
メコノプシスの記述で,「たいていは25度以上で無風に近い日が2~3日続けば枯死するのと…」など,「へぇぇぇ,そうなんだ(・_・)」と思わせる箇所が多々ある.実際に栽培して,しかもよく観察していないと分からない情報にそこかしこに散りばめられ,そそられる.
ただ一つ残念だったのは,学名の索引が無いこと.各植物の項にはちゃんと学名が書かれているのだが,巻末には和名の索引しか無いのはあまりにも惜しい.
それはさておき.
60周年記念で出版された本だが,さて,みねはな会は今後どうなるんだろう?新規会員募集もしておらず,メンバーはそこそこ良いお歳のはず.そういえば森和男先生もネットはやってないと公言しておられた.今や情報はすぐ手に入るネットの時代.会の役目を終えた記念の出版?なんて思ってしまったのは私だけだろうか.
と,貴重な本の出版を知らせるのもネットで…というのはちょっと皮肉な気もするが.(^^;
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